今年はタエが幸せ食堂で働き始めて20年目。

はじめて黄色いレシートが出たのだ。

タエは広げた宝物たちをゆっくりと缶に戻し始めた。

懐かしさと暖かさと、ほんの少しの切なさが胸の中に残っている。

「もう少し丁寧に教えてくれればいいのにね」

過去の宝物がどれの事を指しているのかわからないタエは、誰もいない部屋の中、ポツリと小さく呟いたのだった。