タエがこの道具に足を挟まれて身動きが取れなくなっていたとき、幸せ食堂を立ち上げた亭主が助けてくれたのだ。

最初はその人がタエを助けてくれるだなんて思っていなくて、タヌキ鍋にされてしまうと体の芯から震えあがってしまった。

けれど、その人はタエを優しく介抱してくれたのだ。

足の傷が治るまで食堂の奥で寝泊まりさせてくれて、食事まで与えてくれた。

タエという名前も、その人からもらったものだった。