タエが力を込めて缶の蓋を持ち上げると、ボンッと低い音を立てて蓋が空いた。

このオヤツの缶はタエの宝物入れだった。

長い間生きて来たから、缶からあふれ出してしまいそうだ。

「過去の宝物」

レシートでそう書かれていたときから、タエはこの缶の事を思い出していた。