その時もまた女子たちが愛花ちゃんを取り囲んで騒いでいた。

毎日毎日愛花ちゃんの髪に触れている女子たちを見ると、胸の奥がウズウズした。

羨ましいと思った。

気が付けば和斗は貸してもらった教科書を持ったまま、愛花ちゃんの席へと近づいていた。

何でもいい、愛花ちゃんと話がしたい。

挨拶でもなんでも、それができれば一歩前進だ。

「なによ?」

4年生の頃同じクラスだった女子が、怪訝そうな顔でそう声をかけて来た。

気が強くて男子に混ざっていても違和感のないような女子生徒だ。