目を開けると、さっきの夫婦が心配そうな顔で明美を見ていた。

明美は慌てて涙をぬぐい、笑顔を浮かべた。

「ごめんなさい。色々思い出しちゃって」

「いえ、いいんです。ボクらが驚いたのはあなたの涙じゃなくて、そのむぎわら帽子がとてもよく似合うからです」

旦那さんが言った。

「まるで最初からあなたのものだったみたい」

女性の言葉に明美が小さく頷いた。