「でも、結局来なかったね」

女性が残念そうな口調でそう言った。

「帽子を取りに来るって、どうして思ってたんですか?」

明美は我慢できなくなってそう聞いた。

ただのむぎわら帽子なのに、ここまで食いつくと変な人だと思われるかもしれない。

だけど、そんなことどうでもよかった。