それは本当の事なんだろうか?

「あの、それっていつ頃のことですか?」

「えーっと。あれは咲紀と出合ってすぐの頃だから……」

「10年くらい前?」

女性がそう言った。

「たしかそのくらいだったかな」

「その帽子がどうしてこんな綺麗な状態であるんですか?」

「僕が綺麗に保管したいと思ったんです。この帽子をなくした人はきっと取りに来ると思って」