「いいえ。怪我が軽そうでよかったです」

そう言い、歩き出そうとする明美は、はやり途中でたちどまってしまった。あのむぎわら帽子の事が気になるのだ。

「あの――」

「あなた、私の旦那さんにそっくりだわ」

明美の言葉を遮るような形で、女性がそう言った。

明美は戸惑い、女性を見つめる。