明美は強く涙をぬぐい、歩き出した。

ここですべてが終わる予定だったから、今日はホテルも取ってない。

帰るためのお金も使い尽くしてしまった。これからやる事にもう迷いもなかった。

大股で歩いていると、前方から同年代くらいのお腹の大きな女性が女の子を連れて歩いて来た。

自分には恵まれなかった子供の姿に一瞬だけ胸が痛む。

けれど、それはほんとうに一瞬だった。