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「お父さん、外でタバコ吸ってくるから。会計済ませといてくれ」

お父さんはそう言うと和斗に千円札を一枚渡し、先に店を出た。

お父さんに相談しても結局イマイチわからなかった。

勢いって一体なんだろう?

食べる勢いをつけてみたけれど、気管に入ってしまってとても苦しかった。

それなら、好きな子に告白することだってとても苦しい結果になるんじゃないだろうかと、不安が生まれていた。

モヤモヤと考えながら席を立ち、狭い店内を見回した。

さっきまでカウンター内にいたタエの姿がない。

「すみませーん!」

和斗が大きな声でそう呼ぶと、カウンターの横にあるドアからタエが出て来た。

「ごめんね、お待たせ」

慌てて戻って来たタエが和斗の持っている千円札に気が付いて、レジへと移動した。