「沙弥」


2階から彼が現れた。


「しゅーへーっ!」


飛びつこうとして、サッとかわされてしまう。


「早く行くぞ」

「う、うん」


なんで避けるのよ、修平のバカぁ。



「……で、何が苦手なんだ?」


流れのままに入った修平の部屋。

テーブルの前に座って早々、落ち着く暇もなく、修平が訊ねてきた。

何がって言われても……。


「ぜんぶ」


それしか言いようがない。

得意科目といえば、音楽と体育。

それ以外は……ね。


あはっと苦笑いしたあたしを見て、修平が一言。


「知ってる」


不敵な表情で笑った。