「キャ〜〜〜っ!」


「ちょっと沙弥ー、ご近所迷惑よー?」



──はっ。


姿見の前でひとり、脳内に幸せな妄想を咲かせていると、1階からお母さんの声がした。

今はまだ、朝の6時過ぎ。

それも、休みの人が多い日曜のだ。


……たしかにちょっと、騒ぎすぎちゃったかしら。

少し反省。

でも。

騒いじゃうのもしょーがないよね?

だってこれからあたし、大好きな修平のお家に行くことになってるんだもんっ!


テスト勉強だから、デートってわけじゃないけど。

うふふっ。

あたしの心には、希望しかなかった。


彼氏と彼女だよ?

ふたりっきりの部屋だよ?


そんなのどう転んだって、素敵なことが起きちゃうに決まってるでしょ……!?



「ごめんなさーい!」


弾む声で1階に返すと、勉強道具をカバンに詰めた。