「日野っち助けて〜〜! あたし死んじゃうぅぅぅ!!」

「危ないのでじっとしててください」


縋りつこうとするあたしに、冷たい言葉が返される。


「お願い、助けてよ〜〜。欠点だけは避けたいの〜〜!」

「……先に言っておきますが、私は“かなり”スパルタですよ? それでもいいんですか?」

「いい! いいからお願い!」


無我夢中で頼み込んだ。



しかし。

あたしはこの時の軽率な発言を、すぐに後悔することになる──。



「違う。もう一度解いて」

「うそー!」

「ちゃんと公式に当てはめさえすれば、間違えるはずはないんですがね」


うぐっ。


「自分が賢いからって……」



某一流大学出身。

尚且つ、アメリカの名門大学に2年間留学していた。


過去にそう鼻高々と語っていた様子を、嫌でも思い出した。


……はい。

そうなんです。

日野っちはいわゆる、超がつくほどのエリートだったのです。