「じゃあ行くか」


へっ……?


「ど、どこに」

「決まってるだろ、社長に会いに行くんだ」

「えぇっ!?」


唐突な話に、あたしは困惑してしまう。

そのまま呆然としていると。


「きゃっ」


いきなり、身体が宙に浮かんだ。

や、ちょっと違った。


「あっ、あの、修平っ」


こっ、これって……!


「ちゃんと掴まってろ」

「わあっ」


修平が歩き出した瞬間、落ちそうになって咄嗟にしがみついた。


どうなってるの?

なんで?



あたし、お姫様抱っこされてる……!?



パニック状態の中、修平はあたしを抱えたままどんどんと校舎内を歩いていき──。

気づけば、日野っちの車の前まで来ていた。