誰もいない会議部屋に移動した、あたしたち。

ドアを閉めるなり、日野っちは言い放った。


「この前の球技大会、相当危なかったそうですね?」


──ドキッ。


にっこりと上がった口角。

細くなった目。

緩やかに下がった目尻。


……だけど全然、笑ってない!!


ジリジリと追い詰めるような日野っちの圧力に、あたしは子犬みたいに小さく震える。


「えっと、そ、それはー……」

「あれだけ言いましたよね? 危機感を持て、気をつけろ、と」

「はっ、はい言われました聞きましたごめんなさいぃぃ」


目からレーザービームを出してくるんだもん。

あたしは一息に叫んで、隅っこに逃げた。


「で、でもっ、まさかボールが飛んでくるなんて、誰も予測できないじゃんっ!!」

「だからこそ、常に気を張っておく必要があるんです。これであなたもわかったでしょう。いつなん時、何が起こるかわからないってことが」


……ん?

っていうか、なんでバレたの!?


日野っちに知られたらこうなるって、目に見えてた。

だからあたし、ずっと黙ってたのに!