「……うぅ……っ」


膝が地面についた途端、堰を切ったように声が洩れた。

絶え間なく溢れ出す涙。


あたしは、ゴシゴシと手の甲で唇を擦る。

強く、ルージュが完全に落ちるまで、何度も。

……それでも、全然足りなかった。


いくら手で拭ったところで、事実は変えられない。

それを、頭でわかってるから。



「ぅ……っ、うぅぅ」


呼吸が激しく乱れる。

胸が苦しい。


なんで?

どうしてあんなこと……っ。

言葉なんかじゃ言い表せない感情が、あたしの心を埋め尽くす。


はじめては好きな人とがよかったのに。

はじめてだけは……修平とがよかったのに。


小さい頃からずっと夢見てた。

大好きな人との、ファーストキス。

その夢が、こんな形で、呆気なく奪われてしまうなんて。


……しかも。

よりによって、修平の目の前で。