一度だって忘れたことはない。


“学校ではただの顔見知り”


修平との約束。

嫌われないように。

言われるままに。

あたしはずっと、心に留めてきたんだから。


「だったら──」

「でも!」


でも、それでも。


「なんであたしだけ? あたしだって、もっと修平といたいよ......」


じっと見つめる。

すると修平は、困った顔をした。


「わかってる。修平には、修平の事情があるってこと。でもあたし、我慢できなくて……」

「……」

「最近忙しくて中々会えなかったし……それに修平、他の女の子と仲良さそうにしてるんだよ? どうしても気になっちゃうよ」


堤防を失ったように、とめどなく想いが言葉となって溢れ出してゆく。


「好きなんだもん……修平のこと、大好きなんだもん」


簡単に抑えられるような気持ちじゃない。

抑えたくても、抑えられないんだよ……。