思いだそうとしているのか、朱美が視線を上へと移動する。
「粘りに粘って、一回だけシャッター押させてもらったの。けど、仕上がりは大したことなくて……。でもね、勇くんが映すと面白いくらい綺麗に写るの。実物よりも写真のほうが生き生きして見えたり、綺麗に見えちゃうの。無理やり撮影に同行して、次の日に改めてその写真を見ると、こんなに綺麗だったかなって思っちゃうわけ。そんな魔法使いみたいな勇くんが凄くて、当然アタシは勇くんにつきまうのをやめなかった。これが第二のストーカーっていうか、今も続いている関係ね」
「聞けば聞くほど、当時の勇也が可哀そうになってきたわ」
「康平くん、またまた一言余計。いっぱい話して喉か渇いてきちゃった。ジュース飲もうっと」
立ち上がった朱美は数歩進んで振り返った。
「康平くんも飲むでしょ。何がいい?」
今、朱美を独占しているのは康平だ。勇也のアドバイスが脳裏に蘇る。
(『とっとと告白しろ』か。したとして、上手くいって同棲したら、ずっとこんな感じなのかな)
それは、朱美に意識されるだけでも嬉しい自分にとって、最高の幸せだ。
「なあ、朱美」
完全に勇也の口車に乗るつもりはない。
少しだ。ほんの少しだけ乗ってみよう。
それで脈がありそうなら、さらにもう少し乗ればいい。
そうして、もう少しを積み重ねていけばいい。
「粘りに粘って、一回だけシャッター押させてもらったの。けど、仕上がりは大したことなくて……。でもね、勇くんが映すと面白いくらい綺麗に写るの。実物よりも写真のほうが生き生きして見えたり、綺麗に見えちゃうの。無理やり撮影に同行して、次の日に改めてその写真を見ると、こんなに綺麗だったかなって思っちゃうわけ。そんな魔法使いみたいな勇くんが凄くて、当然アタシは勇くんにつきまうのをやめなかった。これが第二のストーカーっていうか、今も続いている関係ね」
「聞けば聞くほど、当時の勇也が可哀そうになってきたわ」
「康平くん、またまた一言余計。いっぱい話して喉か渇いてきちゃった。ジュース飲もうっと」
立ち上がった朱美は数歩進んで振り返った。
「康平くんも飲むでしょ。何がいい?」
今、朱美を独占しているのは康平だ。勇也のアドバイスが脳裏に蘇る。
(『とっとと告白しろ』か。したとして、上手くいって同棲したら、ずっとこんな感じなのかな)
それは、朱美に意識されるだけでも嬉しい自分にとって、最高の幸せだ。
「なあ、朱美」
完全に勇也の口車に乗るつもりはない。
少しだ。ほんの少しだけ乗ってみよう。
それで脈がありそうなら、さらにもう少し乗ればいい。
そうして、もう少しを積み重ねていけばいい。