そこで彼女は言葉を切り、僕を見る。
僕達二人はしばらく見つめ合った。
あの時出会えた、僕に希望をくれたまなざし。
あの子の瞳が今、僕を見ている。
その現実が、僕にかつてない喜びを与えてくれた。
『どんなことにも意味はある』
そう言った母の言葉を思い出す。
あの日の出来事に僕は救われ、大きな意味を生み出していた。
けれどそれと同じように彼女もまた、僕との出会いに意味を見出していた。
だからこの話は、そういう話だったのだと思う。
自分の限界に挑戦した努力より、等身大の優しさが自分を幸せに導いた。
言ってしまえば、よくある話だったのかもしれない。
だけど僕にとっては、とても大切で、かけがえのない意味を持っていた。
そして。
人の瞳を見るのが怖かった僕は今、積極的に誰かと関わるために変わろうとしている。
自分の優しさが誰かのためになると知ったから、僕はまた誰かの心に寄り添いたいと思えた。
きっと人の心と向き合えば、理不尽な体験や複雑な感情に押しつぶされてしまうこともあるだろう。
言いようのない不安や無力感に苛まれてしまうこともあるかもしれない。
でもきっと大丈夫だ。
僕はもう、前に進むことの意味を見つけたから。
自分の想う女の子のために頑張ろうと思えたから。
だから。
「夢宮慈眼先輩。あなたを一星学園103第生徒会、書記に任命します。
……引き受けて、くださいますか?」
その問いに僕は――
まっすぐに瞳を見て答えた。
「喜んで」
