あの子の瞳、知りたくて


二人が和気あいあいと会話している横で、僕の頭は疑問符であふれかえっていた。

え?兄さん?妹?
まさか二人って―

「あの、ひょっとして二人はそのー」
「ん?なんや知らんかったんかいな。俺とこいつは兄妹やで。一歳差の年子っちゅうやっちゃ」
「そうでした。まだ慈眼先輩の前で名乗ってませんでしたね。……コホン。この度、一星学園103第生徒会長に就任しました、天願瞳(てんがんひとみ)です」
「……!」

そうか、なるほど。
あの日、あの子がなぜ一年生なのにも関わらず二年生の階にいたのか疑問だったが、そういうことだったのか。

「つまりあの日、瞳さんは兄のトラやんを訪ねて二年生の階に来ていたと」
「瞳、と呼び捨てでいいですよ、慈眼先輩。そうですね。先輩がハンカチを拾ってくれたあの日、確かに私は兄さんに用があって二年生の階へ行っていました。思えばあの出来事がなかったら、私が生徒会長を目指すことも、慈眼先輩と出会うこともなかったんですよね……」

呼び捨てでいい、と言われドギマギしてしまったが、それと同時に僕の抱いていた疑問が解決していた。
しかしまだ一つだけ疑問が残っている。

「さっき初めて僕を認識したのに、どうして僕を生徒会室に呼び出したの?」

こちらが瞳さん……瞳の名前を知らなかったのと同様に、向こうも僕の名前を知らなかったはずだ。
ではなぜ僕が呼び出されるのだろう?
その疑問にはトラやんが答えてくれた。

「それはやな慈眼くん。俺が推薦したからや」
「トラやんが!?な、なんで?」
「まあまず貴基にしつこいくらいに言われてたってのがあるわな。『ジゲンは生徒会に入りたいんだ!もしトラやんが生徒会長になったらあいつを書記として役員にしてやってくれ。あいつ字が綺麗だからさ、頼むよ』ってな」
「貴基……」

貴基の僕の生徒会への推薦。
一見不思議に思えるが、そういえば貴基には『僕は生徒会に入りたい』と言っていたのを思い出した。
本来僕がなりたかったのは生徒会長であり、生徒会役員になったところで意味はないはずだった。
でも貴基に事情を全て話すわけにはいかなかったので、僕が生徒会に入りたいということにしていたのだった。