あの子の瞳、知りたくて


「――――っ!?」

突然のあの子の登場に度肝を抜かれる僕。
なんで!?どうしてあの子がここに!?
というか、立候補!?
何が起きているか全くわからなかった。
慌てて貴基に確認する。

「た、貴基!?あれってどういうことなんだ?なんでもう一人生徒会長候補が?」
「え?なんでってお前、さんざん話題になってたじゃねえか……ってそうか、休んでたんだもんな。えーつまりはだな、今回の選挙は異例の一年生と二年生のダブル立候補なんだよ」

ダブル立候補……!?
なんでそんなことに……。
いや、そうか、そういうことか!
生徒会長選挙に参加する権利は、中間テストで学年一位を取ることだったのだ。
つまり、二年生のみが対象じゃなかったということになる。
だが、先生に選挙の詳細を聞きに行ったときは、一年生が立候補できるなんて話は全く聞かなかった。
それもそうだろう。
入学してわずか一か月ほどで、生徒会長に立候補する人なんているはずがない。
そもそもがかなり特殊な選挙の方式である。
今までで一度も一年生が立候補した事例などないはずだ。
貴基の言っていた、異例という言葉がそれを裏付けている。

そしてさらにもうひとつ衝撃的だったことは、立候補したのがあの子だったことだ。
そうなるとあの子は一年生ということになる。
一年生、と確かに聞こえた。
確かに不思議に思ってはいたのだ。
あの子を探そうとした時、どの教室に行っても見つからなかったことを。
そして、廊下でも全くすれ違いもしなかったのはなぜなのか。
それはあの子が一年生だからで、つまり僕の探している場所が見当違いだったと考えれば納得がいく。
じゃあなぜあのときだけは、二年生の階に来ていたのかという話になるのだが、今考えてもそれはわからない。
ともかく今重要なのは、生徒会長選挙はまだ終わっていないということだ。
これが正真正銘、最後の演説になる。

「なあ貴基、あの子の名前なんて言ってた?聞きとれなくて…」
「しっ、始まるみたいだぞ」

聞こえなかったあの子の名前を聞こうとしたとき、あの子はもう話し始めていた。