あの子の瞳、知りたくて


しかしいつまでも拍手が納まらない。
それだけトラやんの話が生徒たちに響いたということなのだろう。
ものの数分で、トラやんはほぼすべての生徒たちを魅了してみせたのだ。
……まあ、こんなすさまじい人に負けたのだから、ある種の喜びさえある。
なんせ『トラやんに負けられてよかった』と思っている自分がいるのだ。
悔いはない。
当然、不信任で無効になるはずなどがない。
トラやんが生徒会長で決まりだろう。

これをもって、僕の一か月に渡る戦いが終わりを迎えた――はずだった。
終わりを迎えると、思っていた。
僕は確かな満足感と共に、トラやんに敬意を表して拍手を送っていた。
僕にとっての大事件が起きたのは、そのすぐ後だった。

「静かにしてください!静かにしてください。えー、続きまして一年生の■■■さん。お願いします」

大音量の拍手が納まりやや静かになったところで、司会は続けてそう言った。

「はい」

綺麗な、透き通った声。
そしてなにより、忘れるべくもないあの瞳。
透明な感情だけが伝ってくる、純粋な瞳。
あの時の女の子が、確かに壇上に立っていた。