月曜日、五時間目。
生徒会長選挙の時間である。
一星中学校の一、二年生が体育館に移動し、生徒会長候補の演説を聞く。
三年生は参加せず、投票は一、二年生だけで行う。
わざわざ選挙の時間を一時間も取っているが、そんなにはかからない。
なんせ他の役員の演説はないのだ。
一人の生徒の演説を聞くために体育館に移動するというのも不思議な話だが、これも百年続く伝統というやつなのだろう。
二年生は壇上に近い場所に並ぶので、トラやんの話をかなり近い位置で聞くことになりそうだった。
列になって並び終えると、後ろから貴基が声をかけてきた。
「いよいよだな」
「ああ。自分が負けた相手の話とか、正直聞きたくないと思ってたけど、まあ仕方ないよな」
「……悪いな、本当に」
「それはもう謝るなって言ったろ?気にしてないし、もう終わったことさ。何より大事なのは、これからどうするかだしな」
貴基とそんな会話をする。
なんだか覚悟を決めてから、気が楽になった気がする。
無力感から解放され、前を向いたからこその解放感なのだろう。
それはきっと、母のおかげだった。
「っと、始まるな」
「ああ」
トラやんが壇上に上がり、ざわついていた生徒たちが静かになる。
いよいよだ。
僕の一か月間の戦いに終止符が打たれる。
そのためにも最後まで見届けなくちゃいけない。
いや、聞き届けなくちゃ、か。
ともかくこれで本当に最後だ。
トラやんが何を語るのかを、しっかりと聞かせてもらおう。
