「悪い、貴基。怒ったりして。別に貴基が悪いわけじゃないよな。ミスに気付かなかったのは、僕の責任でもあるんだから。貴基一人が気に病むことじゃない」
「でも、オレのせいでお前が生徒会長になれなかったら、なんて謝っていいか……!」
「……まだなれないと決まったわけじゃない。相手が辞退するという可能性だってあるし、そもそも点数の結果だってまだ貼り出されてないんだ。最後までわからないもんだろ、勝負ってやつは」
「ううっ、確かにそうだな。うっうっ」
「いいかげん、涙ふけよ。ほら」

ハンカチを貴基に手渡す。
貴基は涙を拭いてから、鼻をそのハンカチでかんだ。
『ハンカチで鼻をかむなよな』と思ったが、空気が壊れそうなので言わないでおく。

「ぐすっ、そうだよな。何が起きるかは誰にもわからないもんな。オレも最後まで応援させてもらうよ」
「ああ、ありがとう。僕も最後まで諦めないようにするよ」
「おう……!」

こうして、波乱のテスト返しは幕を閉じた。
情報通りなら、僕はトップにはなれていないだろう。
それでも、実際にこの目で見るまで僕は諦めない。
明日全てがわかる。
だから、絶望するにはまだ早い。
今までの努力が水泡に帰すかどうかなんて、わからないのだから。