試験が順々に返却され、いよいよ僕の番となった。
先生の前まで行くと、先生が笑顔で言った。
「夢宮、よく頑張った。100点だ、おめでとう」
100点、100点である。
取れるとは思っていた。
でも、予想しているのと実際に取るのとでは喜びが全く違う。
「よっし!」
僕は思わずガッツポーズしていた。
それだけこの点数を取れたことが嬉しかった。
人生で100点を取ったことがないわけじゃない。
でも、全力で努力して取った100点は生まれて初めてだった。
努力が報われることが、こんなに嬉しいことだとは知らなかった。
そして英語の授業が終わり、休み時間になる。
「やったなジゲン!うわあ、ほんとに100点だ、すっげえ」
「ああ、ありがとう!頑張ってきた甲斐があったよ」
「しっかしお前、やっぱ字が綺麗だなぁ。よく英語をそこまで綺麗に書けるもんだ。オレなんか字が汚いからそこで3点落としたぜ」
「まあ、そういうミスで点引かれないように丁寧に書いたからね」
「こんにゃろ。だが、この点数ならトップはほぼ間違いないな。懸念があるとすれば、トラやんがどうなったかだな」
「トラやんか」
「そういや、トラやんはこの時間でテストが全部返って来てるはずだ。確認しに行ってくる!」
貴基が勢いよく隣の教室に走っていった。
次の授業がもうすぐ始まるというのに。
けど、行動力があるのは貴基のいいところだと思うし、素直に尊敬している。
僕はああはできないし。