「……じょうぶか。大丈夫か!?」
声をかけられてとび起きた。
ぼんやりとした頭で、意識を覚醒させる。
ええと、何をしていたのだっけ。
そうだ、僕は今数学の試験を受けている最中で……。
「夢宮、大丈夫か?すまない、倒れているのに気づかなくて声をかけるのが遅くなった。テストはもうすぐ終わるから、終わったらホームルームは出なくていいから保健室に行って診てもらえ」
先生が小声でそう教えてくれた。
そうか、僕はしばらく気を失っていたのか。
ん?ちょっと待て。『テストはもうすぐ終わる』?
「先生!試験時間、あと何分ですか!?」
「え?ああ、あと1分だ」
1分。もうそれしか残っていないのか。
まずい!まだ証明問題は解き終わっていないのに!
僕は鉛筆を持ち、超特急で終わらせにかかった。
先生が僕のあまりの勢いに驚いている様子が視界に入ったが、気にしない。
まだ三行あるのだ、全力で書き出せ!
あと50秒……40……30。
迫りくる時間の中、僕は必至で書き進めた。
20、ああっ間違えた。急いで書き直す。
10……9……8……、3……2……1、書き終わった!
その瞬間チャイムが鳴り、試験終了となる。
先生が声をかけ、試験用紙が回収されていった。
なんとか終わった……危ないところだった。
ここで終わらせられなかったら、きっと一生後悔していたことだろう。
だが、先生が起こしてくれたおかげで何とかギリギリ、間に合わせることができた。
僕は心の中で先生にお礼を言っておいた。