彼女を作れば、大抵の男の人は、中学生になってから、急に彼女が欲しい、欲しいと言い、何故そんなに彼女が欲しいのかと聞いてみると、何も、答えなかった。思春期の男子が考えることだ。きっといやらしいことなのだろう。でも、僕は、もちろんそんないやらしい事を考えて今の彼女と付き合ってはいない、普通に可愛くて、優しい人だから、付き合いたいと思っただけだ。たとえ人から、本当は、「いやらしい事をしたいだけだろ」と言われても、そんな誘導には、引っかからないぞ、と強く思っている。
教室に入ってみると、僕の席が、一番左端の窓側の後ろから二番目の席だ。そして、その横に加奈の席だった。席が隣っていうことは、カップルにとって嬉しいことだ。加奈も嬉しいはずだと思って、表情を見てみると、目を細めて嫌そうな顔をしていた。加奈は、本当は僕と付き合うことが嫌なんじゃないのかなと思った。でも、嫌なら向こうから、別れようと言ってくるはずだ。一度聞いてみようと、僕は、思った。「なぁ、なんでそんな嫌そうな顔してんの?、なにか嫌なことでもあった?」と僕は、言った。すると加奈は、「べ、べつに嫌じゃないけど、少し字が見えづらいと思って。」と言った。「なんだ、そうだったんだ、」と僕は、少し安心した。「先生に言ってこようか?」と僕は、言った。「いい」と気を使うような感じで言ってきた。本当は、言って欲しいのに、正直に言わない、いや、言えないのか。いや、待て字が見えづらいと言うところで自分の気持ちに嘘をついていたら、僕のせいで加奈は、悲しんでしまう。でも、考え過ぎか、いや、考え過ぎじゃない場合もある。分からない、分からなくなってきた。思い切って、聞いてみたらいいのに、ついつい、脳で躊躇(ちゅうちょ)が、発生してしまう。なんでこんなにも躊躇が発生するんだ、とまた僕は、躊躇している。「僕は、あぁどうしたらいいんだ」と、頭を抱え込んでいたら加奈が、「どうしたの?」と声をかけてきた。僕は、こう言った。「君のことを思って、先生に言いに行った方がいいのか、でも、もしそれが、嘘だったらと思いもあって、ずっと、迷っていた。」と言った。すると、加奈は、「深く考え過ぎだよ、ハハッ、そこまで考える人、私初めて見た。」と笑いながら言った。「そうだよな」と僕は、納得したような感じで言った。これから、あまり深く考え過ぎないでおこうと思った。そう思ったけど、いずれまた考えてしまいそうだ。強くそう思ってもそう言うのは中々変えたくても変えれない。何日、何年掛かるかなんてことも分からない。だから実際のところ変えようと心がけをしているだけだ。心がけなら意味がないと思う。本当に底から思わないと、でも、仕方がないことだ。周りが変えたいと思っても、自分自身が、変わりたいと思わない限り、変わらないし、変えたいと思っているものが十年位経ってから、変えたいと思っても、もう遅いと思う。なぜならもう、癖ついてしまっているはずだから。その癖を直すにはとても無理がある。例えば、座った時に足を組む癖が十年位続いていて、ある時に直したいと思っても、直らないって言うのが例だ。だから、早い段階で人から、そこを直した方がいいよと言われていると、言われた人も、直しやすい。