「おお、お待たせ」
しばらくして、大樹が現れた。

「何?どうしたの?」
「うん・・・母さんの検査結果が、よくないんだ」
ええ?
「そんなに悪いの?」
「緊急ではないけれど、1度入院して治療した方がいいだろう」
「そんなに・・・」

母さんは再生不良貧血という血液の病気を持っている。
重症ではないが、通院と投薬は続けなくてはならない。

「ところで、お前は大丈夫なの?」
チラッと、大樹が私を見る。

うっ、

「検査はしてる?」
「う、うん」

実は私も同じ病気。
体調が悪くなると血小板の数値が落ちて、血が止まりにくくなる。

「無理するなよ」
「うん」

そういえば、昔から私と母さんは同じタイミングで寝込むことがよくあった。
さすが親子というか・・・血も繋がっていないのに。

「帰れないんなら、せめて休みの日には顔を出せ。父さんも母さんも待ってるはずだから」
「はい」
素直に返事をした。

長男として、兄として、大樹はみんなに気を遣う。
いい人過ぎて疲れないんだろうかと、心配にもなる。
大事に育ててもらった娘のくせに、何できないことが申し訳ない。