「おめでとう」

山口先生の笑顔。


「ありがとうございます。先生のお陰で卒業できました」

私は頭を下げた。


いつも厳しいことを言う先生も今日は優しい。


「竹浦が頑張ったからだよ。俺のせいじゃない」

「そんなことないです」

今日の卒業式を無事に迎えられたのは山口先生のお陰。

それは間違いない。

先生がいなかったら、今ここにはいない。


「大学も決まったんだよな?」

「はい。自宅から通える女子大にって母の希望で、決めました」

「そう。よかった。でも、ここからがスタートだからな。これからは誰も小言なんて言ってはくれない。自分できちんとしないといけないんだからな」

「はい」


私にだって分かっている。

もうこれからは大人としての扱いを受ける。

良いことも、悪い事も自分で決めていかなくてはならない。


不安だー。

不安しかない。