夕食後、2人で外へと出た。

手入れされた芝生の上に寝転びながら、空を見上げる。
「うわー、綺麗」
「本当だな」
ちょっと手を伸ばせは届くんじゃないかと思ってしまう程、近く感じる星空。

子供の時見たのと同じ。
この星空は、幸せだった子供時代の象徴。
あの頃に戻りたいと、ずっと思ってきた。
でも、今は違う。
私は大人としての幸せを手にしたから。

「満天の星だな」
「うん。そうね」
本当に、空一面の星空。

この輝き一つ一つに長い時間が流れている。
そう思うと、自分の悩みがちっぽけに思える。
私は両手を突き上げた。

「届かないよ」
「分かっているわよ」

その夜、私達は久しぶりに愛し合った。
心も体も溶け合うように、
しばしの別れを惜しみながらお互いのぬくもりを刻み込んだ。