「なんだか恥ずかしいね」
元勤務先の病院へ、渚と受診に来るなんて。

フフフ。
でも、うれしい。

受付でも、待合でも、次々と声をかけられた。

「樹里先生。おめでとうございます」
「あらー、お似合いですね」
「うそー、知りませんでした」
言われるたびに嬉しくて、私は渚の手をギュッと握った。

ずっと、この手を握りしめたいと思っていた。
もう、離さない。

「竹浦さーん。竹浦樹里亜さーん」
名前を呼ばれて診察してへ入る。


「あら、今日はお揃いなのね」
と、産科の先生。

30代前半の若い女医さんだけど、腕は確か。
今だって、渚に気付かない振りをしてくれているし。
産科ってデリケートだから、パートナーについてはあまり詮索されない。
今までだって、『赤ちゃんお父さんは?』なんてほとんど聞かれなかった。

「じゃあ、診察しますから横になってください」
簡単に問診を受けた後、私はベットに移動した。

薄暗くなった診察室。
今は妊娠18週。
超音波ではハッキリと赤ちゃんが確認できる。

「ほら、ここ見える?」
先生が渚と私に説明してくれる。

うわー、かわいい。
仕事では何度も見ていた超音波画像。
でも、自分の子となると感慨深いものがある。
渚も食い入るようにモニターに見入っている。

しばらく超音波で赤ちゃんの診察をし、
「じゃあ、こっちに座ってください」
椅子に座り直して、診察結果を聞く。