「さすがに、今日初めて会った君のことはよく知らないけれど……そういうところ、かな」
彼は首のタオルで額を拭った。
ただでさえ暑い着ぐるみの中で動きながらマジックを披露するのは、どれほど大変なのだろう。それでも屈託無く笑う彼の笑顔に興味を持った。今の私から見れば、まるで太陽のような道しるべのような光。
「ーー俺にとっては、その子どもたちと何ら変わらなく見えるよ」
もし、彼のアシスタントになったら。
こんな風にきらきらした気持ちを分けてもらえるのだと思うとつい欲が出た。
「あの、私ーー」
「お、もしかしてやる気になってくれた?」
やります、と思わず言いそうになってひとつの問題にぶち当たる。
そうだ、マジシャンのアシスタントと言えば……。
「やっぱりごめんなさい! 露出の多い服は、ちょっと無理です!」
「露出?」
彼は要領を得ないといった風に、きょとんと瞬きをした。
「だって、だって……! マジシャンのアシスタントって、バニーガールみたいな格好するんですよね? そんなの、着られません!」
「……」
私の辞退理由を聞いた彼は、しばらく黙り込んだ後、盛大な笑い声を辺りに響かせた。