高校に入ってからは一転して、ガーリー路線を突き進んだ。髪の毛を伸ばし、スカートを履いて、メイクも覚えた。

 周囲は中学までの反動だと思っていみたいだが、そうじゃない。ただひらすらに今までの自分を否定し続けただけのこと。勇気の持てないわたしのできる唯一の懺悔《ざんげ》だと言っても構わない。

「とにかく、もう気にするな。お前は何も悪いことはしていない」
「……うん。ありがと」

 人間は貪欲な生き物だ。心が救われると今度はご褒美が欲しくなる。

「もう……モンチって呼んでくれないの?」

 以前のようにモンチと呼んで欲しい。サワ、モンチ。それが二人の距離感だったはずだ。