ドン!

私の顔のすぐ横に手を押し付けた彼は、グッとこちらに顔を近づけた。息がかかってしまうほどの距離に、私は思わず息を止める。彼の目を見ていられずに思わず顔を逸らした。




「なんで逸らすんだよ」




でも、彼はそれを許してくれなかった。甘い声でそう言った彼は、もう片方の手で私の顎を優しく掴むと、強制的に視線を合わせる。

彼の目は、切なそうに揺れていた。


どうしてそんな顔をするの?泣きたいのは私のほうなのに…




「なあ、ちゃんと話してくれ。お前がいないと、どうしたらいいのかわからないんだよ」

「なんで……」

「お前のことが、大切だからに決まってるだろ」




思ってもみなかった言葉に、私は目を見開いて彼を見詰める。

聞き間違いと耳を疑ってしまったけど、私の気持ちなんてお見通しだったのか彼は目を細めて、顎に置いていた手を私の頬に寄せて優しく撫でた。




「何を聞いたのかは知らねぇ。お前を傷つけたことは、悪かったと思ってる。それでも、お前を手放すなんて選択肢は俺にはないんだよ」

「で、も……」

「俺の言葉だけを信じろ。俺のことだけ見てたらいい」