「じゃあ、いないのかもね。それに、千秋くんはなんだかんだシスコンだし」
「千秋がシスコン⁉それはないでしょ」
「あるわよ。夏鈴はブラコン、この姉弟はとんでもないわね」
「なんか嫌だな、その言い方」
そう言って二人でケラケラ笑う。
確かに、私は自他共に認めるブラコンだ。千秋に彼女がいるかもしれないなんて、そんなことを考えたら気分はブルーになる。
でも、千秋がシスコンなんて想像できない。
「そういえば、ユリって覚えてる?高校の時の同級生」
「うん、覚えてる。二年生の時に同じクラスだったよね」
「あの子、結婚するんだって。しかも、五歳年上のイケメンと」
「そうなの⁉」
思わず口をあんぐりと開けてしまった。
「夏鈴、ブサイクになってる」と芹那に言われて口を閉じるけど、衝撃はちっとも和らがない。
「もう結婚を考える時期なんだね……」
「そうかもしれないけど、早いほうでしょ。大卒ならまだ社会に出たばかりよ。ユリは短大らしいから状況は違うけどね」
「そっか。結婚か……」
私たちも今年で二十三歳。芹那のように大卒なら社会人一年目だけど、それでも結婚を意識する歳になったことは否めない。しかも、高校の同級生が結婚するなんて……。
なんか、いろいろ考えさせられる。
