芹那の存在は、私の人生にはなくてはならないものだ。
「はぁ……美味しい……」
あまりの美味しさに思わず頬を押さえると、私の目の前に座っている芹那は少し呆れたような目で私を見る。
「大袈裟ね」
「そんなことないよ。芹那と千秋が私のために作ってくれたという事実だけで、三倍は美味しくなると思う」
「夏鈴は本当に変わらないわね。安心するわ」
なんだかんだでそう言いながら笑ってくれる芹那も昔と変わらない。昔と同じように私と接してくれるから居心地が良いのだ。
二人が私のために作ってくれたのはハンバーグだった。しかも中にチーズが入っている。芹那も料理が上手だから本当に美味しい。二人とも天才だと思う。
さっさとご飯を食べてしまった千秋は、もう自分の部屋に入ってしまった。きっと私たちを気遣ってくれたんだと思う。
昔からの付き合いなんだし、千秋に聞かれたくないことなんてないんだけど、千秋がお年頃だから仕方ないか。本当に良い弟だ。
「千秋くん、彼女とかいないの?あんなにイケメンでハイスペックなんだから、学校で当然モテそうだけど」
「全然わからない。千秋はそういう話をしてくれないし、私から聞いたこともないから。でもそんな素振りは見せてこないよ」
