「だろ?あれは数ヶ月前にリリースされたやつだけど、本当に良い曲しかねぇんだよ。そろそろ新曲が発表されてもおかしくないんだけどな」
そう言った千秋の表情はとても楽しそうで、私の顔は自然と綻んだ。
「――――おはよう、かりん」
「おはよー」
数日後、迎えに来てくれた車に乗り込み、菜々ちゃんに挨拶する。
今日は特に仕事はなかったけど、事務所で話があると呼ばれていた。その内容は何も言われていないから、私が何かやらかしたのかとドキドキしている。
「ふふ。かりん、緊張してる?」
「バレた?こんな風に呼び出されるなんて慣れてないから緊張してる」
菜々ちゃんに私のドキドキを隠せるなんて思ってないから、わざと大きく肩をすくめてえへへと笑った。そんな私の心境さえお見通しな菜々ちゃんは、私を安心させるように微笑む。
「大丈夫よ、かりんにとって悪い話じゃないから。寧ろ喜ばしいことね。社長もニコニコだから安心して」
「わかった。菜々ちゃんの言葉を信じるよ」
社長もニコニコで、私にとって悪い話じゃない……つまり、新しい仕事だろうなぁ。ドラマか映画か。でも、なんだかいつもと違う気がする。ということは、また新しいジャンルなのかもしれない。
そう考えると、話を聞くのが楽しみになってきた。
