次のゲストに移った時に、漸くテレビから視線を落としてご飯を食べ始めた千秋。そんなに好きだったなんて全く知らなかったから驚いたと同時に、とても興味が湧いた。

だから質問してみると、千秋は深く頷いた。




「ああ。バンドとか興味なかったけど、umiereの曲だけはかなり聴いてる」

「そうだったの?知らなかった」

「別に姉貴に言うことじゃねぇだろ」

「そうかもしれないけど」




でも、きっと一緒に過ごす時間があれば、千秋がumiereというバンドを好きなことはもっと早くにわかっていたはず。最近は一緒にテレビを見ることもしていなかった。

あー、駄目だなぁ。千秋のことを一番大切にしたいのに。




「こういう人たちがいるんだね。知らなかった」

「姉貴、知らなかったのか?芸能界にいるのに」

「知らないよ。俳優さんとか女優さんならともかく、バンドなんて同じ芸能界でも畑違いなんだから。千秋がいなければテレビを見ることもないし、全く知らなかった」

「umiereなんて、数あるバンドの中でも今トップを独走してるようなもんだぞ。知らないなんて結構遅れてるな」

「別にいいですー。知らなくても今まで生きてこられましたからー。でも、人気なのがよくわかったよ。良い曲だね」