ご飯を食べながらテレビを見ていると、音楽番組で紹介されているのは話題のバンドだった。
「あ」と反応した千秋を見ると、千秋は食い入るようにテレビを見詰めている。こんな風にテレビに夢中になるなんて珍しい。
《続いてのゲストは、今若者に大人気のバンド、”umiere(リュミエール)”の皆さんです!メンバーの皆さんのルックスもさることながら、その音楽性が高く評価され、ライブのチケットは即完売だとか。ということで、umiereの皆さん、どうぞ~!》
そんな紹介の後に登場したのは、黒いスーツに身を包んだ男性四人組だった。女性客の甲高い歓声が聞こえる。なるほど……、確かにこれは騒がれるくらいのルックスだ。
でも、それだけではない。紹介されたように、バンドの技術の評価も高いのだろう。女性客ではなく男性客も多いことは、それを示しているように見える。
「千秋、このバンドが好きなの?」
披露された歌はとても良かった。力強くて、でも繊細で、ボーカルの甘い歌声に引き込まれたし、そんな甘さを周りの楽器が力強いものに変えている気がした。
音楽には詳しくないから自分でも何を言っているのかわからないけど、とにかく良かったのだ。音楽性が高いと言われたことにも納得したし、これだけ引き込まれるものを創り出すことは簡単ではないはずだ。
