葬儀と告別式、その他の手続きは母の姉夫婦がしてくれた。未成年で学生だった私には何もできず、2人に頼るしかなかった。
残されたのは私とまだ小学生だった弟の千秋。
伯母夫婦が引き取ろうかという話になったけど、千秋はそれを強く拒否した。「お姉ちゃんと一緒にいたい」そう言って私の手を強く握った千秋のことを未だに覚えている。
伯母夫婦に引き取られたら私たちがバラバラになることはないけど、千秋の気持ちは痛いほど伝わってきて、私は2人で生きていくことを選んだ。
だけど、未成年の私には成す術がなかった。私が成人するまでは伯母に保証人になってもらい、私は大学進学ではなく就職を選んだ。就職は、千秋を養えるくらいのものでないといけない。
夜の仕事しかないのかもしれないと考え始めていた私が出会ったのが、菜々ちゃんだった。そして菜々ちゃんにスカウトされ、私は菜々ちゃんを信じることにしたのだ。
私はもう成人して、千秋の親代わりになった。いわば売れっ子というものになった私は、千秋の学費だって余裕で払えるし、彼を養うことなんて造作もない。
だけど、千秋との時間がなくなったのが少し残念。まあ、千秋をお金で困らせるなんてしたくないから、私は働き続けるんだけどね。
