「ちーあーきー。ただいまー」

「うわ!おい、抱きついてんじゃねぇよ、離れろ!」

「ちーあーきー。ただいまー」

「……おかえり」




返ってきた言葉に満足して、私はその背中から離れる。ちょっと名残惜しいけど。

彼は不機嫌そうな顔をしながら私を見ていた。




「早くね?」

「今日は早く終わったの。だから千秋との時間をたっぷり作れるよ!」

「ふざけたこと言ってんじゃねぇよ。っつーか、早く終わるなら連絡しろよ。夕飯の準備できねぇじゃねぇか」

「出たな、ツンデレ千秋くん!」

「うるせぇ!いいからとりあえず手を洗って着替えてこい、バカ姉貴!」

「お姉ちゃんに向かって馬鹿なんて言うんじゃありません!」




千秋にそう言ってから、私はキッチンを出た。



千秋は正真正銘、私と血の繋がった弟。

そして、この世にたった1人しかいない、私の家族だ。




「うーん、美味しい!千秋は天才だね、こんなに美味しいものを作れるなんて」

「大袈裟だろ。姉貴だって料理できる癖に」

「千秋が作ってくれるから美味しいんだよ。いつもありがとうね」