「じゃあ、さっさと帰らなきゃね。行くわよ」
「はぁい」
菜々ちゃんに返事をして、私は控え室を出た。
「ドラマの撮影ももう佳境ね。クランクアップしたら、連休を取らせてあげられると思うから頑張って」
「連休⁉本当に⁉やっぱり無理だった、とか言わないでよ?」
「言わないわよ。私がスケジュール管理してるんだから任せなさい」
「やった!菜々ちゃん、期待してるからね」
ありがたいことにここ3年くらいは本当に忙しくて、休みはあっても連休というものをなかなか取れなかった。
忙しいことで生まれる安心感もあるけど、心のどこかで休みがあればという気持ちがあったから、連休は本当に嬉しい。
「かりんはよく頑張ってるわ。本当に」
「……ありがとう。菜々ちゃんのおかげだよ」
何もかも知っている菜々ちゃんにそう言ってもらえて、私の心に温かいものが広がる。
「明日は午後からだから、ゆっくり休みなさい。”彼”との時間も大切にしないとね」
「うん。久しぶりに構ってあげられるよ」
「そんなこと言ったら怒られるわよ」
菜々ちゃんに言われて、簡単に怒っている姿が想像できたから、私は思わず声を出して笑った。
怒られたって、そんな姿も私には可愛く見えるから問題なしだ。
