「――――お疲れ様でした!桜木さん、ありがとうございました!」
「こちらこそありがとうございました。また機会があればよろしくお願いします」
「ぜひお願いします!」
無事に取材と撮影を終えて、私がライターの方をはじめとする現場のスタッフさんに頭を下げると、皆さんも私に笑顔を向けた。
自分のことを話すのは苦手だけど、言葉にすることで気づけることはたくさんあるし、ライターの方々が新しい私を見つけてくれることもあるから、雑誌の取材をしてもらえることはありがたい。
スタッフさんに頭を下げながら、私は控え室に戻った。衣装から私服に着替えてメイクも落とした私はマスクを装着。
私が準備を終えるタイミングで部屋に入ってきた菜々ちゃんは私に笑顔を向けた。
「かりん、お疲れ様。今日の仕事はこれで終わりね」
「うん。撮影がかなり巻いたから早く終わったね。嬉しい」
時刻はまだ午後七時前。最近はドラマの撮影が忙しくて夜遅くまで仕事のことが多かったから、こんなに早く帰れるのは久しぶり。自然とテンションが上がる。
私の喜びを感じ取った菜々ちゃんも、ますますその笑みを深めた。
