「では、お先に失礼します。明日もよろしくお願いします!」

「お疲れ。また明日な、こちらこそよろしく」




さっきまで見せていた俺様な様子なんて見る影もなく、優しく笑った大聖さんは私の頭を数回撫でてから、呼ばれたほうへと向かって行った。その姿を見送りながら、呼んでくれた人の元へと向かう。




「お待たせ、菜々ちゃん」

「大丈夫よ。仲が良さそうで何より」

「そんなんじゃないから」

「わかってるわ。さあ、着替えに行くわよ。今日はまだ仕事が残ってるんだから」

「はーい」




菜々ちゃんの言葉に頷いて、私は片付けをしているスタッフさんたちに挨拶をしながらその場を後にした。


私の控え室となっている部屋に入り、着ていた制服のブレザーを脱ぐと、それをすかさず菜々ちゃんが受け取ってくれた。お礼を言いながら、私はポニーテールにしていた髪を解く。

菜々ちゃんはそんな私を見ながら、これからのスケジュールを口にした。




「これから雑誌の取材ね。特集のタイトルは”人気実力派女優・桜木かりんの素顔”ですって」

「素顔……。私、別に偽っていないけどなぁ」