物語は別の視点へうつりかわる
美衣子が出会った「あの子」の世界
夢の世界の 物語
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僕は、あなたの心の中から生まれた。
あなたにとって、多分、都合のいい何か。
それでもいい。
あなたが僕を生み出したんだから。
初めて出会った時、窓の外に僕より少し年上の女の子がいて、目が合った時は驚いた。
けど、それがすぐにお姉ちゃんが言っていた友達だと分かって、追いかけようと思った。
だって、逃げたんだもん。
あなたの「みん」って名前が、どこかで聞いた…どこだろう?まあ訳して「助けて」になることに気づいてしまってからあなたの事が心配で気がかりでたまらなかったから。
僕が追いかけてるのに気づいても、それでもあなたは逃げるから、少し、悲しかった。
でも、それでも話がしたくて、必死でおいかけたら、近くの公園で休んでるから、やっと会えたと思って、言いたいことを全部話した。
息が上がって、少しおかしな感じにはなったけど、あなたにはちゃんと伝わった。僕はほっとして、途端にものすごく緊張してきた。
よく知らない女の子(しかも年上)と二人っきり。ドキドキしない方がおかしい。
別れ際に、あなたはおもむろに僕を抱きしめた。あの時、本当には凄く嬉しくて、暖かくて、幸せを感じた。あなたの心臓の音が優しくて、ずっと聞いていたいと思ったから。
でも、それは叶わなくて、あなたはそのままスっと消えた。
最初は何が何だか分からなくて、慌ててお姉ちゃんのところへ行って事情を説明したけど、お姉ちゃんはなんだか冷静で、怖かった。
その時初めて、ここがあなたの持つ夢の世界の1つであること、そしてこの世界の記憶は出来るだけ消してから現実へ戻らなければならないこと。そして何より、この夢の中の中心は、僕であるから、あなたの記憶の管理をしなければならないこと。
あなたの記憶を僕が消して、現実へ返してあげないといけない。
…もし、もう一度来たら、だけど。
今日は初めてだったから、きっと彼女は記憶を持ったまま戻っただろうけど…なんてお姉ちゃんは言ってた。
話を聞くうちに、何故かすんなりとその話が頭に入ってきて、自分でもどこかで分かってたんだなって気づいた。
多分、夢だから、気まぐれで来るか来ないか決まるだろうなっていうのは分かってたけど、僕は、あなたにまた会いたくて仕方なかった。