「ねぇ、この続きってないの? 読みたいんだけど‼」

 興奮気味に蒼汰に尋ねると、

 「面白かった?」

 蒼汰が嬉しそうな顔をしながら質問をし返してきた。

 「うん‼ まじで‼ この先の話、早く読みたい‼」

 「じゃあ、早めに書くね。今のところはここまでしか出来てないんだ」

 蒼汰の返事の意味が分からず、

 「書くって何を?」

 首を傾げる俺に、

 「それ書いたの、俺だから」

 と、蒼汰が照れながら、でも少し自慢げに笑った。

 「え⁉ まじか⁉ まじなのか⁉ これ、書き終わったら速攻で何かのコンクールに送りなよ‼ お前、天才だと思う‼ 凄い小説家になれると思う‼」

 お世辞でも何でもなく、本心だった。変わっている人間だなと思っていた蒼汰には、才能があった。

 「ありがとう。なんか恥ずかしいな。でも俺は小説家になりたいわけじゃないから。俺がなるのは、監督兼脚本家兼演出家兼編集だから」

 『なりたい』ではなく『なる』と言い切る蒼汰の横顔を見て、『あぁ、こいつは本当になれてしまうんだろうな』と漠然とした確信を持った。