新学期が始まって、いつも通り眠い目を擦りりながら『何がこの文章から作者の意図を読み解けだよ。言いたい事があるなら直で言えよ。なんで友達でもないお前の気持ちを長々しい文章を読まされて、挙句察しなきゃいけないんだよ、面倒臭いな』などという、情緒もクソもない悪口が口から飛び出さないように、しっかり唇を閉じて国語の授業を聞き流していると、
「ほぇ⁉」
右隣から、奇声がした。
「オイ、授業中だぞ」
先生が蒼ちゃんに向かって注意をした。
「スイマセン。しゃっくりが…。ヒックヒック」
蒼ちゃんが、しゃっくりをするフリをしてさっき奇声を誤魔化そうとした。
「あんなしゃっくりがあるかよ」
しかし、やはり先生には通用しなかった。
「しゃっくりです。ヒックヒック」
が、蒼ちゃんは押し通す。これを折れない心というのか、しつこいというのか。
「今度やったら職員室な」
何を言っても『しゃっくりです』としか答えそうもない蒼ちゃんに、先生の方が折れた。