「イヤイヤイヤ、白木さんはオーナーだから、そもそもボーナスなんてないでしょ。給料制じゃないんだから。てか、『紙の本は嵩張るから』っていつも電子の方を買ってますよ、あの人」

 白木さんが持ってくるかと思ったら、タケくんがティラミスを持ってやってきて、私たちの目の前に配膳してくれた。

「へ……へぇー。そうなんだ。知らなかった」

 千秋さんの頬がポッと赤くなった。

「……なんだろ。イライラしちゃう‼ イライラしちゃうんだけど‼ ねぇ、千秋さんのティラミス譲って‼ 糖分が足りない‼ 1個じゃ絶対足りない‼ 幸せなんだからいいよね?」

 千秋さんのティラミスに手を伸ばすと、

「えぇー。……まぁ、いいですよ。これで許してくれるなら」

 千秋さんがティラミスの皿を私の方へとスライドさせた。