「私、漫画家なので、出版業界の知識はちょっとだけあるわけで……。初動がいかに大切かとか、初版を売り切らなきゃ次に繋がらないとか。『【本当に良い作品は口コミで広がる】なんて幻想だ。この世にどれだけの傑作が日の目を浴びずに埋もれてると思ってるの⁉ 宣伝しなきゃ売れない。口コミは、誰にも言わなきゃ広がるわけがない。彼女の作品がそうなってもいいの⁉ そんなに良いものを書ける彼女のチャンスが潰れてもいいの⁉』って、私が唐沢さんを嗾けた。だから唐沢さん、色んな人に言って回ったんだと思います。あそこ、見てください」
千秋さんがレジカウンターの下の棚を指差した。
「……あ」
そこには、【蒼い青】が5冊、表紙を見せる形で置かれていた。
千秋さんがレジカウンターの下の棚を指差した。
「……あ」
そこには、【蒼い青】が5冊、表紙を見せる形で置かれていた。