「よし、タケ。一回下がろうか。下がってパスタを持って来い。ごめんね、夏川さん。タケにも悪気は全然なくて、夏川さんを尊敬してるだけだからさ」

 白木さんが両手を合わせてペコペコと頭を下げた。

「はーい。気を悪くさせてしまってごめんなさい」

 白木さんの隣でタケくんも頭を垂れる。

「すみません。唐沢さんに盛大に裏切られたことに腹が立って、大人気ない態度を取ってしまいました。ごめんなさい」

 何も悪くない人たちに謝られている状況に申し訳なくなり、私も頭を下げ返す。

「とりあえず、パスタ食べましょう。お腹が減ってると余計にイライラしますからね。すぐ持ってきますね」

 私に笑いかけ、キッチンに戻ろうとするタケくんに、

「気持ち盛り多めにってパスタイオに伝えて」

 白木さんが耳打ち。しかし、しっかり聞こえてしまった為、

「サービスありがとうございます。なんかすみません」

 と恐縮すると、

「これで千秋を許してやってくださいな」

 白木さんは『イヒヒ』と舌を出し、『ごゆっくり』と言い残して仕事に戻って行った。